スイスの電気設備大手であるElektro-Material AG社は、建設業界向けに提供するECアプリ「EM」に組み込んでいたオープンソースのスキャンエンジンを、Scandit Smard Data Captureにリプレースすることで、スキャン精度と速度を向上させました。
アプリを介したスピーディーな注文により、フルフィルメントの遅延ゼロを達成し。さらに、イノベーティブな文字認識(OCR)とMatrixScan拡張現実(AR)オーバーレイ機能で付加情報を提供できるようになり、ユーザーエクスペリエンスを向上させました。
当社のE-コマース戦略において、お客様がECアプリから商品を購入する際に、シームレスな購買体験を提供することが極めて重要でした。当初使用していたオープンソースのスキャンエンジンでは、読み取り精度と速度に課題がありました。Scandit Barcode Scanner SDKとMatrixScan ARにリプレースしたことでスキャン速度が劇的に向上し、アプリからの売上が拡大しました。
課題
アプリのスキャン性能の向上:ユーザーエクスペリエンスの最適化
Elektro-Material は、スイスの建設業界における電気部品の大手サプライヤーです。世界35ヶ国に2,100以上の支店を構える電気製品卸売のグローバル企業、Rexelグループに所属します。
Elektro-Material社の顧客は、工業バイヤー、建築業者、電気工事業者、建設会社など多岐にわたります。扱う電気製品は25万点以上あり、商品の販売経路は単問営業への直接問い合わせ、スイス国内に9つあるElektro-Material社の支店へ直接来店、「EM」のECサイトやECアプリ(iOSとAndroidで提供)などの様々なチャネルを用意しています。
「EM」デジタルチャネルは、同社のビジネスのなかで重要な収益源であるため、「EM」アプリを利用する顧客が、迅速かつシームレスに注文できることが重要でした。顧客は商品カタログからバーコードをスキャンして注文手続きに進むか、バーコードがわからない商品については、「EM」ECサイトからバーコードラベルを印刷し、アプリでスキャンすることも可能でした。
「EM」アプリで商品が購入できる選択肢は顧客にとって満足のいくものでしたが、従来のオープンソースのスキャンエンジンでは、バーコードを1枚を読み取るのに数秒かかっていました。
このため、フルフィルメント(注文の処理)に遅れが生じ、顧客のユーザーエクスペリエンスが低下していました。その結果、顧客は、特に大口注文の場合、電話かElektro-Material店舗で再注文したほうが早いと不満を感じていることが明らかになりました。
さらに、一部の商品にはシリアル番号しかなく、オープンソースでは読み取ることができませんでした。このようなスキャン精度の制限は、顧客の購買体験に悪影響を及ぼし、アプリからの注文数の減少を招いていました。
Elektro-Materialはこの状況を変えたいと考え、アプリのパフォーマンスを向上させ、顧客のアプリ利用の定着率を高めるためにデジタルコマースの改善に取り組みました。
ソリューション
オープンソースからScanditのSmart Data Captureへのリプレース
同社は、「EM」アプリに使われていたオープンソースの使用を中止し、Scanditのスキャン技術を採用しました。アプリ開発元であるmp technologyは、ScanditのBarcode Scanner SDKをECアプリに統合し、AndroidとiOSデバイスで使用できるようにしたのです。
Scandit Barcode Scanner SDKは、2万機種以上のスマートフォンに対応しており、瞬時のデータキャプチャが特徴です。顧客が使用する多様なデバイス(ロースペックからハイスペックまで)を管理できないElektro-Material社にとって、これは極めて重要であり、オープンソースのバーコードスキャン技術で難しかった、多様なスマートデバイスのサポートが叶ったことは、大きな安心材料となりました。
Elektro-MaterialのECアプリ「EM」の画面。
Scandit MatrixScan ARによるオーバーレイで、視覚的に商品の価格と在庫をチェックする様子をご覧ください。
スキャンエンジンをScanditにリプレースし、商品のスキャンが速くなったことにより、顧客の注文中に起きていたフルフィルメントの遅延がなくなりました。
Pascal氏は、「最近では、特に若いお客様の間で、商品を注文する際にECサイトやECアプリなどのデジタルチャネルが好まれていることを実感しています」と述べています。
MatrixScan ARを活用したイノベーションにより、ユーザーエクスペリエンスが向上
Elektro-Materialは、Scanditの文字認識(OCR)機能を追加し、Scandit Barcode Scanner SDKをさらに強化させました。顧客は、「EM」アプリのOCRスキャン機能を使用し、バーコードのない商品のシリアルナンバーを簡単にスキャンすることが可能になりました。
また、「EM」アプリにScandit MatrixScanを追加することで、複数バーコードの一括スキャンを可能にさせ、読み取り時間の時間短縮という新しいエクスペリエンスを提供しました。
「EM」アプリには、ScanditのAR機能も搭載されています。顧客が商品のバーコードをスキャンすると、同社のERPシステムにある商品情報(在庫数など)を瞬時に画面上にポップアップ表示できます。
これにより、Elektro-Materialの各支店における商品の価格や在庫状況をリアルタイムで確認したり、納期を調べたり、シームレスな購買体験ができるようになります。
Pascal氏は、次のように述べています。「ScanditのMatrixScanとARによって提供される先進的な購買体験により、ECアプリの利用時間の増加や再注文の強化の他、ユーザの定着率を高められることを期待しています。」
結果
- スキャン性能の高速化により、迅速なオーダー処理を実現
- 5倍速
- 定期的に「EM」アプリで購入している顧客数
- 15,000
- 3ヶ月間でスキャンされた回数
- 95,000
アプリ利用の定着率を促進の
Elektro-Materialは、継続的に「EM」アプリのプロモーションを行っており、電話や店舗内購入といったオフラインの注文からデジタルへの移行を促しています。「EM」アプリの普及とエンゲージメントが高まるにつれ、同社はデジタルチャネルからの、より多くの収益を期待しています。
実際、Scanditのスキャンソリューションは、「EM」アプリ内にある検索機能に次いで2番目によく使用されている機能です。前年度の12ヶ月間に行われたスキャンが112,000回だったのに対し、わずか3ヶ月という短期間で8割を超える95,000回以上のスキャンを達成しました。
Elektro-Materialの顧客、従業員、経営陣からのフィードバックによると、Scanditのスキャン性能は、従来のオープンソースよりもはるかに速く、速度はおよそ5倍に達するとのことです。
Pascal氏は、「私たちは、Scanditを単にスキャン技術を提供する企業だけではなく、それ以上のバリューを提供してくれる長期的なパートナーであると考えています。ECアプリの継続的な改善に向けて協力し合いながら、今後もさらなる機能改善、強化を期待しています」と述べています。