イオングループのGMS(総合スーパー)事業を担うイオンリテール株式会社は、Scandit Barcode Scannerを搭載したセルフスキャンアプリ『どこでもレジ レジゴー』によって、快適で楽しい買い物体験を生み出しました。導入店舗では、アプリのセルフスキャン機能とセルフチェックアウト機能によってレジの待ち時間が短縮され、売り上げが増加しました。買い物客のリピート意向も高く、『レジゴー』の利用率はますます高まっています。
「非接触型の買い物をお客様にとって役立つものにし、感染症の流行といった事態でも安全性を確保できるようにしたいです。また、Scanditの高速で正確なスキャン性能でセルフスキャンソリューションを強化し、お客様の“楽しい買い物体験”を実現させたいと考えています。」
イオンリテール株式会社
執行役員 システム企画 本部長
山本 実 氏
課題
イオングループのGMS(総合スーパー)事業を担うイオンリテールは、本州・四国に約400店舗以上を展開し、売上規模は2兆円を超える国内最大の総合小売業者です。
イオンリテールはこれまで、人手不足の解消やレジ待ち時間短縮のため、一部の店舗にセルフチェックアウトを導入してきました。タブレット付きショッピングカートのセルフチェックアウトの試験運用を行いましたが、定着しませんでした。さらに重要な課題として挙げられたのが、バーコードをスキャンする作業の難しさです。ワインボトルのように湾曲した容器にバーコードが貼られていたり、冷蔵・冷凍品では水濡れによって歪んでいたり、読み取りにくい角度に印字されていたり、あるいは照明が暗い場合など、買い物客がスムーズにスキャンできないケースが多々あり、セルフチェックアウト導入の障壁となっていました。
レジ待ち時間を短縮し、顧客の買い物体験と店舗の業務効率を向上
同社はこのような課題をふまえ、お買物中に顧客自身が商品をスキャンする『レジゴー』を導入し、顧客の買い物体験向上を目指す方針を固めました。目的は、『レジゴー』のセルフスキャンおよびセルフチェックアウト機能による “楽しい買い物体験”の提供です。顧客が自分自身の手で商品をスキャンし、金額を確認し、支払いをすることで、まるでゲームをするような感覚で買い物を楽しむことができる。そんなアプリを目指しました。
スキャンした商品はスマートフォンの画面にリストとして表示されるので、会計前に購入商品と金額を確認できます。会計時は、専用レジでQRコードを読み取り、現金、カード、または電子決済で支払いを行います。これにより、レジでの待ち時間が解消されます。
また、店舗スタッフは『レジゴー』によって従来のレジ業務の時間が減り、他の優先度の高い業務に集中できるようになります。
イオンリテールは『レジゴー』を、専用スマートフォンを店内に設置して顧客に貸し出す方法で運用する計画を進めました。そして、この新たなセルフスキャンアプリには「どのような環境でも素早く、正確にバーコードを読み取ることができる、高精度のスキャン性能」が必須だと考えました。
ソリューション
高性能スキャンアプリによって生まれる“楽しい買い物体験”
イオンリテールのアプリ開発者である株式会社いらっしゃいませは、『レジゴー』に搭載するスキャン技術としていくつかのソリューションをテストした結果、Scanditの採用を決定しました。同社の代表取締役・粥川直人氏は、次のように述べています。
「スキャンの精度と速度が重要な要件である一方で、設備投資、運用コスト、アプリとの統合のしやすさも選定基準としていました。これらに基づいて、Scanditのスマートフォンスキャンソリューションと他のソフトウェアベースのスキャンソリューションをテストしたところ、Scanditが他のソリューションよりも優れていることがわかりました」
現在、Scanditのスキャンソリューションを搭載したスマートデバイス『レジゴー』は、全国で35店舗に展開されています。子どもから高齢者まで、誰でも簡単に手間なく使うことができ、会員登録などの煩わしい手続きも必要ありません。店舗入口にある専用スマートフォンを手に取り、スタートボタンを押すだけでスキャンを開始できます。
Scandit Barcode Scannerを搭載したセルフスキャン「レジゴー」端末
山本氏は次のように述べています。「Scandit Barcode Scanner SDKの読み取りの速さや正確さ、そして使いやすさに本当に驚きました。『レジゴー』の利用率も大きく伸びており、2021年には国内100店舗以上への導入を目指しています」
結果
- 店舗売上高の増加
- 5%
- 以前のセルフスキャンシステムと比べ、利用率が向上
- 30%
- 利用者の多くが「今後も使いたい」と回答
- 67%
セルフスキャンアプリが、顧客エンゲージメントの向上・買い物時間の短縮・売り上げ増加に貢献
現在、『レジゴー』の利用率は順調な伸びを見せています。イオンリテールが過去に導入したセルフチェックアウトシステムとの比較では、30%増という数値を実現しました。この利用率の高さについて、粥川氏は「Scanditを搭載した『レジゴー』の使い勝手の良さが要因だと考えられます。Scandit製品は、低照度、反射、湾曲した面などの読み取りが難しい角度、バーコードの破損など、どのような環境でもバーコードを正確にスキャンしてくれます」と話します。
『レジゴー』を利用した買い物客からは、「簡単にスキャンできるので買い物が早く済み、時間を節約できる」といった声が寄せられています。支払いのために長時間レジに並ぶ必要もありません。イオンリテールが実施した調査では、利用者の67%以上が『レジゴー』での買い物を楽しいと感じており、「今後も利用したい」と回答しました。これは、他の小売業者が運用するセルフチェックアウトシステムの33%を大きく上回る結果です。
顧客エンゲージメントの向上は、購入点数の増加にもつながりました。アプリの画面に購入商品がリスト表示されることで、買い忘れている商品に気付きやすくなったためです。これにより、買い忘れた商品をコンビニエンスストアなどに急いで買いに行く、といった手間を減らすことができます。
『レジゴー』を介して購入点数が増えたことで、店舗の売り上げは5%増加しました。平均で2点ほど購入商品が多くなり、顧客単価は約500円増加しています。
今後の展望:バックオフィスや小売業界にもセルフスキャンの活用を拡大
イオンリテールは、現行の専用レンタルスマートフォンに加えて、顧客のスマートフォンでも『レジゴー』を使えるよう、アプリの開発を進めています。
世界中で猛威を振るう感染症によって非接触型ショッピングの需要が高まり続ける中、イオンリテールは棚管理などバックオフィス業務でのScanditバーコードスキャン技術の活用に関心を寄せています。また、Eコマースおよびロジスティクス内の小売部門全体でセルフスキャンを使用し、業界全体の生産性を向上する動きにも意欲を示しています。